マイノリティ・リポート
映画館で見ようと思っていたのだが見にいく暇が取れずDVDをレンタル。
スピルバーグの映画を見るのは、ジュラシック・パーク以来だが、相変わらずネタ的なカットは秀逸だ。今回も網膜探査するスパイダーがスラムの集合住宅に入っていくシーンなどは、たくさんのエピソードをきわめて短時間に凝縮することで、スパイダーの機能や社会的な認識などが表現できている出色のシーンだったかも。逃げる子供、エッチを邪魔される若夫婦、トイレでぼーっとしている老人、喧嘩を一瞬やめて検査させる中年夫婦。SF的な設定をきわめて現実的なレベルに落としこんで表現するとき、スピルバーグは冴えるね。もちろん、お得意のパニックとアクションも冴えている。
だが、スピルバーグ映画で我慢ならんのが食い物の扱い。今回は控えめだったが、この人の映画でとにかく気になるのが食べ物を粗末にしている情景だったり。ETでピザをぐちゃぐちゃにする宇宙人、ジュラシックパークで見苦しくケータリングを食べているデブ。今回はめだたないところで食卓がワヤになるところを緻密に描いてたり。カビだらけのサンドウィッチを食ったり、シリアルを投げ捨てていたり。
もう一つ我慢ならないのは、生理的嫌悪感を催す表現を意図してやっているのかいないのかわからないところ。目玉がドングリころころとか、必要もないのに家を壊すホバークラフトとか。
肝心の映像*1ですが、ノワール系の何かを狙ってるのかどうか知りませんが、色使うのがへたくそなのね。街中のシーンが青い雰囲気なのはいいんですが、本当にモノトーンっぽく処理することもないでしょうし、合成の荒を隠すためでもあるんだろうけどグレアがきつすぎる。陰影はすごくきれいなこともあるのだけど、色が欲しい。足りない。
などといろいろ書いたけど、SFなんか読まないって人に「未来の一つの形」を見せることには成功しているんだろうな。網膜認証システムが行き届いた状態とかね。
*1:おハナシはディックの原作を読み直した方がいいね。