PSPのスペックから

私はゲーマーじゃないんで、遊ぶ方向からのスペックはどうでもいいんだがPSPのプラットホームは、モデリングメソッドに一石を投じるかもしれない。もちろん、重要なのはNURBSのサポートのことだ。
メモリが貧弱なPSPでNURBSを処理できるジオメトリエンジンを搭載するってのは理にかなった話で、LOD*1が常時効くのも好ましい。
ところが、このNURBS、パラメトリック曲面なもので、UVで構成される田の字構造から外れたもの(三つ又とか想像してもらえばいいかも)をモデリングするのが結構厳しい。逆に、現在最もメジャーなポリゴンメッシュではこの手の分岐は、一稜線に2面以内という制限を守っているならばとても楽に作ることができる。
もちろんNURBSモデラーを謳うツールは、三叉構造やパラメータ数の異なる曲線のフィッティング機能を山のように搭載しているから「できない」ってわけじゃあないんだが、内部的にはどうしても複数のパッチに分割することになるからポリゴンメッシュで作るときと比べて難しくなってしまう。曲線精度が異なるプラットフォームに書き出した時に、フィットさせたはずの面がはがれたり割れたりする問題も発生しやすくなるため、NURBSに熟練したエンジニアが必要になってくる。
いま、NURBSを扱えるモデラーのほとんどはCAD用途がメインなんで、安価なモデラーが少ないのも当座の問題になるかもね。安価なツールが少ないってことは、ユーザー=作業者の数が少ないことに直結するわけだし。ポリゴンメッシュの編集であれば、私が最近使っているWings3Dをはじめオンラインソフトウェアも多い上に、ほとんどの3DCGツールはポリゴン編集を満足にこなすことができるんだが。
逆に、SonyがNURBSを扱うACISカーネルを何らかの形で公開してくれると、モデリングメソッドとしてエンターテイメント分野でもNURBSを適材適所に用いることが一般的になってくるかも。ていうか、こっちを期待していたりする。
NURBSを扱えるということはBスプラインやベジェパッチを扱えるということでもあるわけで、こちらのメリットはすぐにでも活きそう。ユーザーフレンドリーなスプラインモデラーとしては、AnimationMasterで有名なHash Patchシステムがあるし(アニメーションマスターのスプラインはベジェ曲線だが)、Shadeだってベジェモデラーとしてみた場合の扱いやすさとユーザー数は捨てたもんじゃない。
なかなか、面白くなってきそうじゃないか。

*1:Level Of Detail:距離や表示サイズによって3Dの詳細さを変更すること。