竜とわれらの時代

竜とわれらの時代 (徳間文庫)

竜とわれらの時代 (徳間文庫)

読了。満腹です。
The S.O.U.P. (角川文庫)では、すてきな制作魂を描ききってくれた川端 裕人が、今回は恐竜発掘をネタに科学と人間のあり方について柔らかな物語を描いてくれました。
福音派イスラム原理主義者などちょっと風呂敷を広げたところも、まぁ、荒唐無稽にならない程度に説得力があるし、物語の成立度合いはS.O.U.Pよりも断然上。恐竜をはじめとする古生物の理論などはそれほど珍しいものでも新しいモノでもないので、知的興奮を期待する向きにはちょっと肩すかしかもしれないけど、オーソドックスな理論を適切にまとめていてとても好感が持てる。
絵描きの端くれとして、川端 裕人はモノを作り出す人の心を描くのが本当に上手で、読んでてうれしくなるのがいいな。S.O.U.P.でもグラフィッカー魂が発露するあたりはとてもうれしかった。そうなんだよ!!ってね。
一つだけ文句を付けたい。このページ数なら上下分冊にしてください。歩きながら片手で読めないじゃないか。