眼の誕生――カンブリア紀大進化の謎を解く
- 作者: アンドリュー・パーカー,渡辺政隆,今西康子
- 出版社/メーカー: 草思社
- 発売日: 2006/02/23
- メディア: 単行本
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動物の「眼」のように複雑な器官が無作為な発生と淘汰のプロセスで作り上げられた驚異が、本書を読んだ後では驚異ではなくなってしまう。
たった数百万年の間に、動物が視覚と殻(と多様な構造が残されたこと)を獲得した経緯がとてもシンプルなロジックで説明される。
様々な動物の「眼」に関する説明や、フィールドワークのレポート、三葉虫の見事な眼の構造など、サービスも充実している。
読後認識の変革を促すような内容ではないが、ワンダフル・ライフ―バージェス頁岩と生物進化の物語 (ハヤカワ文庫NF)ででっかく広げられた風呂敷がきちんと包み直される。あの奇妙な生物群の感触がより強固なものとなるだろう。
訳者の判断で一人称が「僕」となっているため、書店で流し読みしてキャンセルしちゃった人もいるかもしれないけど、中身はマトモだ。ぜひ、一読あれ。