鋳型

あまり数の多くないクラークの短編集のひとつ。1970年代の作品集ではあるが、古いSFの多くが技術革新によって時代遅れになっていくなかで、クラークのSFはカール・セーガンのエッセイのような読後感を未だにもたらしてくれる。
短編のプロットの多くは宇宙を舞台にした冒険小説だ。巧妙に設定された極限状況へ立ち向かう誇り高い人物が描かれる。深遠なテーマや高尚な思弁が描かれることが少ない短編だけど、私はこの系譜にあるSFがとても好きだ。
追記:なぜかハインラインがお勧めに入ってきた(2006.6.12現在)が、ハインラインはどうも読めないんだよなぁ。