先物の営業電話

先物の営業電話が半年に一回ぐらいかかってくる。本部長なんて大それた肩書きを一時期拝領していたので、その関係だろう。
しかしうざい。今日はコーヒー豆だった。大仰な声で「コーヒーがいま、すんごいんです。この情報をぜひとも藤井様へ」と電話口でがなり立てる。
もう、ね。あふぉかと。
コーヒーの収穫期は北半球で5月から秋口にかけてだ。ってことはいま、日本ではコーヒー豆が輸入されてくる直前ってことになるんだな。先物の値段が上がるのは当たり前であって、何の不思議もないわけで、実際の豆が港に入り始めたら値段が元に戻っていく。農作物はおおむねそういう値動きをするわけで、季節ごとにあがるのが当たり前。
Wikipedia:コーヒー
しかもこの営業、金融商品の営業で絶対に言ってはならない言葉「絶対に儲かります」を連呼していた。会社名公開したろか?
と、ここまで書いて思い出したよ。

珈琲相場師 (ハヤカワ・ミステリ文庫)

珈琲相場師 (ハヤカワ・ミステリ文庫)

金融業、という業種が生まれた17世紀のアムステルダムユダヤ人が珈琲をネタに成り上がっていく物語。最近の進んだ中世の風俗研究の成果もあり、見てきたような、匂いたつようなディテールで、世界中でよそ者だったユダヤ人の暮らしが描かれている。
ドラマチックな展開だけでもエンターテイメントとしてかなり上質なのだが、しつこい中世の都市描写や思わずニヤっとしてしまう文学との絡みは、歴史マニアや文学マニアでも楽しめるはず。
この本、出張先のパリのホテルに置き忘れてきてしまったのだが、もう一度読んでみたいなぁ。
また、本書の主人公「ミゲル」の子孫が紙の迷宮〈上〉 (ハヤカワ・ミステリ文庫)に登場するという。こちらも読んでみたいものである。