Photoshop CS3で変わるワークフロー
CS3から搭載されたスマートフィルタは、今まで超えられなかった壁を取り払ってくれる。
画像の解像感を整えることができるアンシャープマスク、スキャン画像からのタッチアップに不可欠のダストアンドスクラッチ、周辺光量・歪曲収差・角度・パース補正を行うレンズ補正、各種ぼかしフィルタなどは画像処理に不可欠のフィルタ群だが、CS2までのPhotoshopでは効果付けなどのクリエイティブワークに入る前に終わらせておかなければならない、しかも、やり直しのきかない処理だ。
また、選択範囲を作ってからのフィルタワークは、一方通行の橋を渡らなければならない危険な処理だ(複数のレイヤーに分けておいてレイヤーマスクを使う……ってのも可能だけど)。
フィルタの効果を後からでも変更でき、フィルタの影響範囲をマスクで制御できるスマートフィルタは、画像処理のワークフローを劇的に変えてくれる。
使い方はいたって簡単。
- Convert to SmartObject(レイヤーをスマートオブジェクトに変換)
- フィルタを実行する
これだけ。
スマートフィルタレイヤーは他のスマートオブジェクトにOptionキー+ドラッグで適用することもできるし、スマートオブジェクトをダブルクリックして、素材画像のピクセルレベル処理(ゴミ消しや傷の修復など)を行うこともできる。退屈な処理をワークフローのどこに差し込んでも構わない、というのは大きな前進だ。
この機能を一度でも使うと、本当にCS2に戻ることはできない。このようなワークフローは映像編集ソフトでは至極当たり前に行われてきたのだが、ようやく、Photoshopが追いついたってことになる。
機能的には何も変わらない……という評価を目にするんだが、ワークフローが全く変わったことを指摘したレビューがあまりないので書いてみた。もちろん、ゴミ・キズのタッチアップをフィルタワークの後で行えることの利便性や、レイヤーを何枚も作って手動で後戻りのできないフィルタ処理を再適用できることの利便性を「何も変わらない」というなら何も言うことはない。