HDR覚え書き

段階露出した写真をHDR合成してトーンマッピングするまでのチュートリアルを書いてみた。
題材は黒猫。黒猫の写真をきちんと撮影するのって難しいんだよね。ぴくりとも動いていない段階露出撮影するのも難しいんだけどさ。

1. 段階露出した写真を用意する

source files
段階露出した写真を用意する。注意点は下記

  • 対象が動いている写真はNG
    なくてもいいけど三脚があれば使おう。
  • カメラ(CCD)の位置を動かすな
    Photoshopの自動補正で、写真のレイアウトは調整してくれるんだけど、カメラの位置が変わると人間が見た目にはほとんど変わっていなくても画像のトポロジーは変わってしまっている。あるカットで見えてなかったものが別のカットで見えてしまったりするんだ。
  • 絞り固定で段階露出
    これも上記と同じ。ビンボケとそうでないもののは人間には同じ対象だけどPhotoshopにとってはそうじゃない。暗いオレンジが猫の輪郭がぼけたものだなんて知る由もないんだ。

2. HDR合成

Menu > File > Automation > Merge to HDR imageでファイル選択ダイアログが開く。
Menu > Automate > Merge to HDR... panel
ソースファイルをかき集めよう。ここにはOKをクリックする程度の自由しかない。
HDR setting panel
HDR合成ウインドウが表示される。このウインドウの左のリストでチェックをオフにすることで不要なソースファイルを排除することができる。段階露出の最中に割り込んできた不要な情報を排除できるんだ。
この段階で、オレンジやグリーンのようなartifact(不自然なノイズ)が見つかったら、原因になっているソースファイルを修正してしまうといい。
HDR image
Photoshop CS3なら、下のスライダーで露出を変更してみることができる。

3. 画像の現像

変換されたHDRを現像する。
Menu > Image > Mode > 8bit(激しくレタッチするなら16bit)を実行。
Menu > Image > Mode > 8/16 bit
ガンマとか露出とか調整できるダイアログボックスが表示される。ここで、変換ダイアログボックス上部のメニューをlocal adaptationに変更することで、HDRに記録された実輝度をトーンマッピングすることができる。
HDR to 8/16 bit local adaptation panel setting
画面下はヒストグラム。画像をスポイトでクリックすると、ヒストグラム上の位置がわかる。
自分が欲しいトーンのゾーングループ把握して、それぞれのゾーングループごとにトーンカーブ修正を行う。この写真では、黒猫、オレンジのソファ、グリーンのマットという3つの主題ごとにS字カーブ補正でコントラストを強調する処理を行った。

4. 後処理

Black cat hdr
普通には絶対撮影できない写真の出来上がりだ。
まだHDRからの変換アーティファクト(グリーンのノイズなど)が残っているなら、Menu > Filter > Reduce noise のカラーノイズ除去機能を使って消してしまおう。

楽しめた?