長期出張のTipsその1

vm_converterさんの力の入ったエントリー緊急事態時など、個人的な疲労とストレスの解消に効くものリストに触発されたので、3日を超える出張や中国、韓国、アジア圏への出張のときに、私が個人的に注意している部分を書いてみる。

まず、連絡手段から。

連絡手段

連絡手段を第一にあげたのは実利的な面よりも、出張のストレスをもっとも軽減できる手段と考えるからだ。特に携帯電話と長期ならSkype必須。これなしで活動していた先輩方には本当にアタマが下がる。

  • 運用について
    • こちらの連絡を待ってもらう体制をつくる。移動日は受信可能圏に入ったらすぐに連絡を入れ、次に連絡する時刻を報告する。出張時に相手からの連絡が溜まってしまうことは最大のストレス要因だ。メールや留守電をためないためにも定時の連絡・報告で、こちらが話せるときにこちらから連絡する原則を作ろう。いつ連絡がとれるかわかっていれば、相手も無用のメールであなたを悩ませなくなる。ストレスをためないために、イニシアチブを取ることが重要だ。
    • 到着時点で運用開始する。待ち合わせをロストすることを考慮すると、到着時点から携帯で連絡できるようにしておくといい。のっけから待ち合わせに失敗すると、それだけで関係が悪化することもある。
    • 通訳がべったりつくなら別だが、軽い通訳は受け入れ先に電話依頼することをお願いしてみる。携帯電話さえあれば受け入れ先に頼むことで、タクシーの運転手と話ができなくても目的地に赴ける。実際、英語が通じない中国で英語圏ビジネスパーソンがよくこうやっているのをよく見かける。受け入れ先もアテンドを貼りつける負担が減るので、よろこんで受けてくれるはずだ。
    • ソウルには携帯電話を使う安価な翻訳サービスがある。タクシーの窓に広告のステッカーが貼ってあるので携帯の電話帳に登録しておくと何かあったときの助けになる。
  • 短期ならローミング
    • 頻繁に出張したり、1週間を超える予定がないなら、DoCoMo World Wingなどキャリアのローミングサービスに頼るのがベストだ。が、ローミンング部分は受信者支払いになるってことは周囲に伝えておくべきだ。障害対応時や緊急の電話会議などで受信しているとすぐにン万円になってしまう。
    • ローミング時はパケホ等、定額サービスの対象外となる。元のパケット代にもよるが国内のパケット通信料の数百倍になることもあるので、パケ死直行コースだ。ローミング時はiモード等の使用頻度を思いっきり下げよう。受信パケットもくせ者だ。勝手に飛んでくる会員メールに100円とか払いたくないだろうから、メールも選択受信を心がけよう。
    • PCでの支払い手段を確保しておくのも重要だ。DoCoMoのWorldWingの初期設定は5万円で一度リミットがかかるようになっている。ポストペイドなので請求金額20万円なんてことになる前に止めてくれるのはありがたいが、一度リミットがかかると支払いを行うまで電話とiモードが使えなくなってしまう。気づかないうちにリミットがかかってしまうと、iモードから料金支払いすらできなくなってしまい、通信手段が大きく制限されてしまう。PC MyDoCoMoのアカウントさえ作っておけば、PCからクレジットカードで料金を支払ってリミットを解除することが可能だ。
  • レンタル携帯
    • 会社が出張費用の通信費用を全部まとめて払ってくれるなら高額なレンタル携帯もありだろう。番号があらかじめわからないので番号の周知が難しい。また高額なので1〜2日ならともかく長期出張には向かないし、現地携帯なので日本語のSMSを受け取っても読めない。急ぎの出張じゃなければ使いたくない手段だ。
  • 現地SIM/携帯
    • 10日滞在とか毎月同じ国に行くとかなら現地の携帯電話やSIMフリー端末に現地のSIMを入れるのが理想。国際電話の通信費用が安いし受信者負担もない。自分が使う分だけのプリペイド支払いなので請求死亡もない。また自分の携帯番号になるから周囲に告知するのも楽だ。
    • 国内にも販売業者があるが、はじめての購入は現地の国際空港でもいい。一回目のアクティベーションは販売スタッフがやってくれる。プリペイドカードはそこらに売店がいくらでもあるので心配しなくていいが、到着日は国際電話をかけることも多いだろうから、購入したらその場でいくらか足しておくといいだろう。
    • SIM購入時のカード類は大切に保管すること。通信会社のWebサイトでアカウントを作成する際に必要なパスワードが書き込まれている。Webのアカウントがあれば、残高の確認も可能だし、空港やスタバの無線LANアクセスも楽になる。
    • Webも使用可能になる。Nokia E61のようなSIMフリースマートフォンだと、WAP over GPRSを使ったパケット通信も可能になり、安価なパケット代でモバイル専用サイトを利用することも可能になる。
  • Skype
    • ネットワーク環境が整っているときという条件はつくが、PCや固定・携帯電話との国際電話を安価に実現できるSkypeは最強の通信手段だ。インターネットアクセスが許容されているホテルでSkypeが遮断されたことはないし、現在の中国南部のように劣悪な通信環境でも声が飛ばせるのはSkypeならでは。
    • 中国出張ならばSkype-out/inは出張前に日本でカウントを買い足し、Paypalアカウントを作成してておこう。Skypeプリペイドカウントは中国からクレジットカードで購入することができない。Paypalを使えば購入することができるのだが、Paypalの新規アカウントの作成からSkypeカウント購入まで約20分ほどかかる。
    • Bluetoothヘッドセットを使うことを強く勧める。両手を完全にフリーにできるし、デスクに縛られないので受け入れ先オフィスで相手に聞かれたくない通信が楽になる。
    • 配偶者が居るならWebカメラを使ってビデオチャットするのもストレス軽減になる。出張中は家庭に不在のストレスがかかるが一日一回、10分でも顔を見せればかなり違うはず。配偶者が簡単に使えるように、普段から利用しておくといい。

行動

行動指針とか、それに絡むTipsとかを記してみた。
私の経験からしか導かれていないので、性格が私と大きく異なると思う人は参考にしないほうがいい。普段からかけ離れた行動をとると破綻するし、何より疲れるので、普段の行動を自然に持ち出せるように小さな修正で済むようにしたほうがいい。

  • 自然にできることをやる
    • ついミッション外の成果をあげたくなるが、3日目ダウンを引き起こさないよう注意しよう。
    • アウェイでは遠慮が先に立つのが日本人の性だが、迷惑オーラは世界共通だ。迷惑かなぁ、と思いながら起こすアクションは、間違いなく相手が迷惑と感じる。自分がやりたいことは相手も望むことだ、ぐらいに考るぐらいでちょうどいいと思う。表面上あわせてくれればこっちのものだ。どうせ腹の底などわからないし笑顔を作れれば場は和む。
  • 味方を探せ
    • つい「自分でなんとかしよう」と考えてしまいがちだが成功したときの達成感はともかく、肉体は確実に疲れる。3日目ダウンを防ぐためにも、その時々で頼れる味方を確保し続けるのは重要課題だ。自分自身が動かなければならない局面なんていくらでもある。
    • ホテルに居る間はフロントに頼ろう。近くのレストラン、薬局からマッサージまで、聞けば大概のことは答えてくれる。空調や備品など部屋の不備に関することも、自分で客室担当へ言うよりはフロントを介する方が楽なことも多い。
    • 中国の施設にはロビーにデスクを構えた副理事がいることがある。彼ら彼女らの現場における権力は絶対で多くは英語をたしなむ*1。フロントが役に立たない場合は、副理事に頼むのも手だ。
    • 受け入れ先担当者との関係は良好に保つ。夜間に電話で通訳をお願いできる程度の関係が結べればベストだ。
    • 通訳が居る場合、自分の味方かどうか必ずチェックしよう。日本人で外国語ができる通訳は相手国側の味方になってしまうことが多いし、現地人で日本語ができる場合はこちらの味方になりやすい。努力して外国語を習得しているのだからその国に対して何かしらのシンパシーを持つのが自然だものね。片方の親が日本人だったり幼少時に日本に居たなど、努力なしで日本語を習得している場合にはこの法則が当てはまらないので注意が必要。仮に通訳がテキだったとして何とかなる訳でもないが……
  • わがままになる
    • 必要があれば、相手や会社の規則を考える前に、とりあえずお願いしてみよう。部屋の変更はもちろん、旅行代理店が手配したフィックスの航空券を予約変更できたりする。
    • 同行者のことは後回し。上司を案内する出張ならともかく、同行者のことは余力で考えよう。自分を保つことが大切だ。全員で沈没するのが最悪のケース。
  • 貴重品の持ち歩き
    • 死守しなければならないのは、なんといってもパスポートだ。これさえあれば、最悪の場合航空券を忘れても飛行機に乗れる。
    • 私はジーンズの前ポケットにパスポートをねじ込んでいる。全くお勧めしない方法ではあるが、私にとってはもっとも自然な方法になってしまった。確実に持ち歩けて、ストレスにならない方法であればなんでもいい。
    • パスポート番号は暗記しておく。機内で、入出国、換金時に必要になるパスポート番号を暗記しておくと、出し入れが面倒にならない。どうせ9桁の英字+数字だ。DOSファイル名よりも単純。
  • 現金とカード
    • 現金の持ち方も考えておこう。中国の場合、商業地の労働者月収は16,000〜30,000円ぐらいだ。5万円とか両替した中国元は犯罪を犯すのに十分な動機になる。私は、100元札を一枚と100元以下の紙幣をマネークリップに止め、コインケースに一元玉を入れている。100元札の束は財布の中にしまっておいて、支払い時には見せない。日本円は☆☆☆☆以上のホテルならセキュリティボックスが信用できるのでそこに保管し、ホテルが信用できないときは、鞄とポケットに分散している。
    • クレジットカードは大きなショッピングモールなら面倒なく使えるが、中国では「VISA」と書いてあっても中国の銀行カードじゃないと使えないことも多い。また、ホテルの支払いなどに現金を要求されることもあるので、ホテルを予約する際にワールドのクレジットカードが使えるかどうか確認しておくことを強く推奨する。もちろん、ホテルについて保証金をいきなり現金で要求されたときに、別のホテルにさくっと予約できる行動力があれば大して問題にはならない。
    • ソウルやマニラではちょっと大きめの飲食店なら、日本よりも確実にクレジットカードが使える。スキニングも怖いが、領収書を確実に回収しておき、不明な支払いがないかどうかを後日チェックできるようにしておくことが大事だ。余談だが、韓国ではクレジットカードが使用されたときに携帯にSMSが飛んでくるサービスがある。日本でも是非始めて欲しいサービスだ。
    • スーツケースの奥に1〜2万円ぐらいのトラベラーズチェックを放り込んでおくと、何かのときに役に立つ。中国でも☆☆☆以上のホテルなら換金可能だしレートもいい。下がり続けている日本円よりも$のTCで保有すると為替差益をすこしだけ味わえる。

*1:または、英語ができなければ恥だと思っているので、通じているフリをすることがある