考古学ノンフィクション
- 作者: ハーバート・クロスニー
- 出版社/メーカー: 日経ナショナル ジオグラフィック社/日経BP出版センター
- 発売日: 2006/04/29
- メディア: 単行本
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「ユダの福音書」原典翻訳版は6月に発売されるらしい。本書はユダの福音書の写本に関するノンフィクションであり、ユダの福音書の内容はもったいぶって期待をあおるような書き方がなされているが、翻訳はついていない。ユダの福音書を読むことが目的であれば、買うべきではない。
ところで、この1990年代の死海文書騒動から始まった一連のブームだが、1970年代に書かれた面白い小説がある。イエスの古文書〈上〉 (扶桑社ミステリー)、イエスの古文書〈下〉 (扶桑社ミステリー)だ。イエスの実弟による福音書が発見されたという騒動を、一人の広告屋(1970年代なのであんまり現代的な観点からはインテリっぽくない好人物)の眼から描くミステリの秀作である。ちょっと時代のゲージをまわす必要があるが、彼が描いた聖書をめぐる状況は「ユダの福音書を追え」に描かれていることがらをリアルに、そしてドラマチックに描き出している。良書だ。