いやー、つまらんかった。

こんな映画が2005年にメジャーから配給できてしまったということが驚きだ。
古典の短編SFを映画化した作品はいくつもあるけれど……ブラッドベリも草葉の陰で泣いているだろう。この映画のシナリオライター、20ページもない原作をリーダーズダイジェストで読んでるんじゃないだろうか。
とりあえず最後まで見たが、映画的に処理するための時間の波、というアイディア自体は良かったのだけどキャラクターが誰一人魅力的じゃないし、そもそもスクリプトが全くなってない。黒人一人、女性二人を混ぜた5人が徐々に追いつめられていくシーンなんて、まるでコンピュータが作ったみたいに型にはまったシチュエーションで進行してしまう。ステレオタイプな進行は効果的だから使われるんだけど、それを感じさせちゃいけないでしょ。
デザイナーも「どうぶつずかん」をまず見なさい、といいたい。なんで恐竜が進化したらヒヒの顔にならなきゃいけないのよ……
呼び物のCGすごかった。見所満載だ。ブルーバックスクリーンの反射がばりばり映り込む街のシーンもすごいが、「アルゴ号の冒険」と同じモーションで動くCG恐竜、陰が完全暗黒なレンダリング、ちりちり追いかけるマスク、重量感の全くないCGカー、パースの狂ったシーン、「十戒」に負けてる波の表現……いやはや、これだけVFXに失敗したシーンがてんこもりの映画も珍しい。そういう意味では貴重な作品だ。

もし間違って映画だけみちゃった人は、原典をどうぞ。

太陽の黄金の林檎 (ハヤカワ文庫NV)

太陽の黄金の林檎 (ハヤカワ文庫NV)

収録作品の”a sound of thunder”が映画の原作にあたるが、これは古典SFの傑作だ。