見なきゃわからんことがある

何十人かのエンジニアが働いている場所にいたりするので、中国人の、あるていど標準的だと思われる作業環境を眺める機会に浴している。
会社は設立間もないので、みな近代的に液晶モニタを使っているのだが(隣の会社はフラットマスクの14インチだった。プログラムしてるっぽいけどちょっと大変そうだなぁ。)、多くの中国人は解像度を一段下げて使用しているのが大変気になったのだが、自分で中国語Windowsを使ってみて疑問が氷塊した。
フォントが読みにくいんだ。
なぜか中国ではゴシックではなくひげのついた明朝体(正確には明朝体ではなく宋書体のようだが)が好まれる。道路標識は言うに及ばず、解像度の足りないはずの電光掲示板でも無理矢理明朝体になっていることが多い。
これがWindowsの中もそうなってるわけだが、Mac OS Xのような読みやすさがある訳でないので漢字がまず読みにくいし(糞マカの独りよがりだという勿れ。私がMac OS Xの中国語表示で講義を行うと皆「きれいだ、読みやすい」と口を揃える)、細いローマン書体でアルファベットがぱらぱらと、小さな文字でカーニングもされずぱらぱらと並ぶ。そりゃ、解像度を下げたくなる気持ちもわかる。私のチームはフル解像度を強要したが、まぁ、はじめのうちは不満たらたらだった。すぐに慣れたみたいだけどな。
1024×768と1280×1024の差はでかい。ソースコードにして15行は変わる、ってこたぁ25%は変わるわけだ。実際効率が悪いし、また日本人のエンジニアが見ると効率が悪く見えてしまう。
んで、タイピングも遅い。英語圏や韓国人のようにネイティブ言語が変換不要な国のエンジニアのタイプスピードは、我々日本人や中国人と比較にならない。単語一つ一つの入力速度は全く変わらないのだろうけど、ヤツらは息継ぎしない。日本語はATOKなどがサポートする長文変換のおかげでだいぶ一息が長いタイピングをする人が増えているけど、やっぱり単語と単語の間やオペランド、ピリオドや括弧でいったん呼吸を置くでしょ。普通の中国人は、これが日本人に比べて多い。単語の変換効率というよりも、変換のために画面を見る、選ぶ、というフィードバックのリズムが体に叩き込まれているんだろう。このリズムに乗って、マウスまで遅くなる。致し方ないことだが、大変もったいない。
私のチームのオペレーション、特にマウスの操作は他のチームのメンツと比べて10倍位早くなっていた。私が見せるオペレーションを知らず知らずのうちに真似するわけだ(無駄にマウスを振り回す、という、良くないところまで真似されてたんで気付いたんだが……)。実際に机を並べて仕事をすると、こういう教育ができるのがいい。
中国と仕事をすると、手が遅いって印象を持つ人が多いみたいなんだが、一度、一緒に机を並べて仕事をしてみないか?
絶対に、変わるはずだ。