AdobeCS雑感

適当に手元のQuarkXPressファイルをinDesignで開いてみたり、Illustratorで過去ファイルを編集してみたり、PhotoShopでいろいろいじってみたりしていますが、なんといいますか……過去のバージョンアップの中で一番ドキドキしています。

PhotoShop

パフォーマンスも向上して順当なアップグレード。目玉の「シャドウ・ハイライト」や「イメージブラウザ」、InDesignと同等のテキストエンジンなど普通に動いている。今後7.0を起動することもないだろう。
16bitでの編集がいくらか柔軟にできるようになったのはとにかく評価したい。
が、やはり「全部じゃない」というあたりで引っかかる。レンズぼかしは重宝する機能かもしれないが、16bit色深度を使えないのは、なんで?Camera Rawデータ使えるのにレンズぼかしがRawの16bitに使えないのって理不尽と違うか?

Illustrator

Illustratorは8.0以降、際限なくレスポンスが低下し続けている印象があるが、ようやく我慢できる程度のレスポンスに落ち着いてきた。
文字組版がまともに使えるのも嬉しい。これなら「100ページでもイラレ」派も大丈夫か(w
組版ツールの向上はあるけど、DTP用のツールとしてみたときに、今回のバージョンアップでは互換性のなさが辛かろう。過去の組版の保持ができない点を筆頭に、InDesignに搭載されているいくつかの印刷用オプションを欠いているので、単ページならイラレ、とも単純には言えない。本来の用途である絵描き/図案屋のツール回帰を強く感じるバージョンアップだ。InDesignがペラにも対応できるツールになりつつあるから、それはそれでありかもしれない。安いしな、InDesign込みのCS Standard。

InDesign

とにかく、よぉできとる。ま、比較対象が10年前のツールなんでアレだが(w
コントロールパレットの収納方法は、Mac OS Xの流儀にない方法だけどすばらしいね。大量のコントロールパレット(Mac OS X風に言うとユーティリティウインドウ)を使うツールはInDesignの方法を見習うべきだと思う。が、どうせ特許なんだろうから同じ方法は使えないと来たもんだ。
CSシリーズ全体でこの収納方法が使えないのは痛いぞ。>Adobe
で、肝心のページネーションツールとしての出来映えだが、従来DTPが苦手としてきた日本語書籍組版用のレイアウトグリッドの出来映えに関しては、私が電算写植の経験を持たないので評価できず沈没。
レイアウトグリッドを使わないときのハンドリングはDTP屋にも判りやすい。二行ドリの見出しなどが一瞬で作れるとか、字取りができるとか……書いてて情けなくなってきたな。電算写植しか知らない人が聞くと「そんなんで仕事になるんですか?」てなレベルのことだが、とにかく楽に作成できるようになった。部分的にレイアウトグリッドを作ることができるのもいいね。
XPressドキュメントの読み込みは、合格点をあげたいな。スタイルシートも段落スタイルとしてインポートされるし、カラーもスウォッチに登録されている。XPressショートカットは嬉しい人もいるだろう。オレはオプションキーでのパンだけ使わせてもらおうか。

とはいえ

今までに書いてきたことは「従来の資産のことを一切考えなければ」という但し書きがつきまとう。
CIDのメトリックスカーニング、EPSのバイナリ形式に対する対応の方向性だけでもなんとかなれば、相当のユーザが恩恵を受けられることでしょう。
CIDのメトリックスカーニングに結局非対応となったのは、意味不明な仕様だなぁ。OpenTypeに格納されているデータは基本的にCIDとほぼ同じ形式のデータのはずだから、カーニングテーブル自体は使えると思うのだが……ペアを検索するエンジンがUnicodeのみ対応ということなのだろうか。

EPSバイナリ

Adobe CSシリーズ全般に、出力時のPostScriptがASCII固定になっているため、ASCIIのPostScriptにバイナリを埋め込んだときの挙動不全をソフト側で防げないために、バイナリEPSの画像を配置した場合プリント時にアラートが出る仕様になっている。
んで、ASCIIのPostScript内にバイナリを含めたときの挙動はRIP依存の様子。
少なくとも、EPSONの8800CPSでは問題なく出力可能であった。
ま、安全のために今後はASCII EPSで保存するってことでいいか。どのみちこれから最終データはPDFだ。それほど気に病むこともない仕様変更かもしれん。